ハセガワ 1/24 ワコール ダンロップ ローラ T90-50 完成しました~!
ということで写真たっぷり完成レビューと参りましょう!
ハセガワ ワコールダンロップ ローラ T90-50 完成レビュー
外観
まずはぐるっと全体から。
ローラ T90-50はレーシングマシンコンストラクターのローラ・カーズが1990年に製作したF3000用マシンで、低く細くというコンセプトに基づき当時のF1トレンドを数多く盛り込んでいたのが特徴です。
本キットはハセガワから30年以上前に発売されハセガワお得意のデカール変え商法(やめろ)で様々なマシンがキット化されています。
今回は2023年に再販されたワコールダンロップ仕様を組んでおります。
マシンのスタイリングを見るだけでは、パッと見で当時のF1と区別のつかない作りです。
マシンの戦闘力自体は国際F3000よりも高く、特にブリヂストン、ダンロップ、ヨコハマがしのぎを削って開発していたタイヤ性能はF1に肉薄。予選タイヤではF1よりコーナーが速かったそうな。
それゆえ全日本F3000は3000ccのF1などと呼ばれてしまうほどハイレベルなカテゴリーとなってしまったのです。
シンプルながらも美しいストライプとカラーリングが素敵ですね。製作記を読んでもらえば分かりますが綺麗にデカールを貼るのは難しく塗装してしまう人も多いようです。
ワコールに穴吹工務店といった今では考えられない会社がモータースポーツのスポンサーをやっていたというのが知れるのもハセガワF3000やCカーシリーズのいいところ(笑)
ちなみに本マシンは童夢レーシングチームのものですが、童夢創業者とワコール創業者の娘が夫婦だっため実現したスポンサードだったのかもしれませんね。(ちなみにこの夫婦は後年財産を巡ってめっちゃ揉めている)
製作にあたり難関だった部分はどこかと聞かれたら、そらもう全部なんですが…、ストライプやコクピット後ろのなぜかカウルをまたぐワコールロゴが途切れないように調整して貼るのには気を使いました。
おかげさまで全くズレずに貼ることができ、本キットを作った他のモデラーさんからはお褒め頂きましたよ。
今回はTwitter(現X)の無改造コンペに出すために作ったので一切の改造はしていませんが、パーツの合いの調整や組み付けの精度にはかなりこだわっています。
作ってみて思ったのは、やはり精度を高めて作ってあげるだけで非常に完成度がアップするということですね。
ついついオートモデルはディティールアップや改造ばかり考えてしまいますが、一度基本に立ち返って素組で精度良く作ってみるというのも良い事なんじゃないでしょうか?
サイドビューです。
ホイールはSSR製。モータースポーツシーンで地位を確立した3ピースアルミホールが泣かせます。
そんなSSRブランドを作った株式会社スピードスターも2005年に自己破産…ブランドはタナベに買い取られ現代でも同じロゴが使われ続けています。作りながらバブル崩壊と氷河期時代の歴史を学べる名キットですわ…。
モノコックとエンジンフードの合いが非常に悪く、あっちを調整すればこっちが合わないといった具合でしたので、本当にちゃんと組む場合はパテを使って調整した方が良いでしょうね。
素組で組んだにしては良いところにと押し込めたなとちょっと自画自賛。
素組でそのまま組むと妙に前上がりに仕上がってしまいます(笑)。
本キットは1/24スケールということもあり、プラ製のサスアームが非常に弱くしなりやすいので、おそらく自重によりリアサスアームが反っているのだと思われます。
ディスプレイベースに固定される方はシャーシ底に2~3mmほどのスペーサーを挟んであげると経年劣化でサスアームが曲がってしまうのを防げますよ。
ちなみにハセガワからはスーパーディティールという名前でウィリアムズFW14のキットにメタル製のエンジンパーツを付属させているキットがありますが、あちはそれらメタルパーツの重量に耐えられずにサスアームが曲がり、シャーシが底付してしまうという欠点があります(笑)。肝心のメタルパーツも別に精度が良いものではないのでただ高いだけの…略
各部のアップを見ていきましょう。まずはコクピット周辺から。
本マシンのシートに座ったのはF3000では新人の古谷直広選手で、シートのサイドとヘッドレスト部にネーミングが入っています。
メーターにはクリアーを落としてレンズを再現していますが、カメラで撮影しようとしてもほぼ見えません(笑)
今回は素組なのでよしとしていますが、シートベルトのデカールも付属していないので気になる方はディティールアップパーツや鉛板なので作ってあげると良いでしょう。
ミラーは鏡部をハセガワのミラーフィニッシュで再現。持っておくと非常に便利なアイテムです。
エンジン内部
エンジンフードは脱着できるので無限エンジンを拝むことができます。
素組なのでプラグコードやボックスへの配線等は一切再現していせんが、少ないパーツ点数でしっかりと密度感と雰囲気を出してくるハセガワの仕事は素晴らしいですね。
パーツの精度や成型はまぁひどいものですが造形は中々良いです。ちゃんとモデラーが気を使って組んであげれば非常にカッコよく仕上がります。
シャーシが非常に柔らかいので製作記録を参考にガッチリとモノコックとエンジンを接着してください。完成後の安心感がグッと増します。
カウルを外しても80年代後半から90年代のF1マシン同様の美しさを楽しめます。僕自身は2000年代のエアロ世代ですが、やっぱりこの年代のマシンは良いですねぇ。
モノコックはアルミハニカムをカーボンでサンドイッチしたコンポジット構造となっています。
この時代はまだまだカーボン単体では強度が出せずこのような複合構成が多かったほか、グラスファイバーもふんだんに使われておりました。
エンジンは無限製のMF308です。
MF308とは「M ugenのF ormula用3 .0 L 8 気筒エンジン」の略称です。
全日本F3000やフォーミュラ・ニッポンだけでなく国際F3000にも供給されました。
本キットのマシンが走った1991年は残念ながらライバルのコスワースDFVにチャンピオンエンジンの座を奪われますが、国際F3000は勝利。
1988年から2005年まで、全日本F3000がフォーミュラ・ニッポンに名が変わっても供給され続け、最終的には鋳型の消耗により引退となった息の長いエンジンです。
嗚呼、なんか色々書いていたらプラグコードくらい再現したくなってきたなぁ(笑)
タイヤはきっちりとパーティングラインを消し、荒めのスポンジヤスリでやや使い込んだ風に仕上げています。
タイヤの削り方も製作記と別記事で紹介しているので読んでくださいね。
基本工作力は求められるが、だからこそ面白い銘キット
という事でハセガワ ワコール ダンロップ ローラ T90-50の完成レビューでした。
製作記では色々書いた通り、単純に組み立てるだけでも一筋縄ではいかないクセのあるキットですが、仕上がると30年以上の前とは思えぬカッコよさになってくれました。
ハセガワのキットは組みにくいと言われる方も多いですし、確かに組み辛いところも多いですが、仕上がりのシャープさと雰囲気はタミヤやアオシマにも負けない絶品キットであることが多いです。
オートモデラーの腕試しとして組んでみるのも面白いのではないでしょうか?
少し前にハセガワから出たザブングルが組みにくいとXで若干炎上していましたが、組みにくい模型をカッコよく組むのがモデラーの仕事だと思っています。モデラーなら文句言う前に手を動かそうぜ。
これ組めたらどんなキットも困らないよ。
デカールバリエーションも多いので色々作ってみたいですね。ぜひ皆様もお手に取ってみてください。