ゴッドハンド株式会社さんから発売されているアルティメットニッパーをご愛用の方も多いのではないでしょうか?
自分もちょうどアルティメットニッパーが話題になりだした頃から入手し、そのあまりの切れ味と切断面の美しさから虜になってしまい、手放せない模型ツールとなっています。
これまで買った模型用工具で最も役に立っています
このアルティメットニッパーは切れ味の評判はこぞって良いものの、その評価と同じくらい「刃が折れる」、「耐久性が低い」、「壊れやすい」といった感想やレビューを耳にします。
そこで今回はアルティメットニッパー歴3本目の僕が、壊さず長く使う方法をシェアしちゃいますよ。
筆者は過去2本アルティメットニッパーをダメにしている
偉そうな記事を書いているものの、僕はこれまでアルティメットニッパーを2本壊しています。
思い出したくもない(笑)
どんなシチュエーションでやらかしたのか振り返ってみましょう。
1本目:落とした
1本目は順調に1年以上使っていたのですが、ある日パーツを切っている時にスルっと落としてしまいました。
言い訳させてもらうとアルティメットニッパーの持ち手のグリップ力は元々高くなく、ヤスリ粉などがついた手だと滑りやすいんですよね。
フローリングに落としたニッパーは刃こそ折れなかったものの、嚙合わせが悪くなりゲートを綺麗に切断できなくなくなってしまいました。
刃先と同じくらい工具の組み立て精度も高いのです。
調整を試みたもののどうにも改善せず、1本目死亡…
2本目:刃先が折れた
2本目は普通にランナーからパーツを切り離している時でした。
ちょっとニッパーを入れにくいパーツだったのですが、少し無理してニッパーを入れて切った瞬間、切り離されたランナーがねじれてしまった際に負担で刃先が折れてしまいました。
この時はパーツが切れた瞬間に妙な負担を感じたので「しまった…」と思ったのですが時すでに遅し、目の前には先端が片側欠けたニッパーがあったのでした…。
しかもこれは買い替えてすぐにやらかしたので本当につらかった(笑)
言ってはおくがニッパーは悪くない
ぶっちゃけ自分が壊した過去2回は完全に自分の不注意です。ニッパーもゴッドハンドも全く悪くない。
ほとんどの方も自分と同じように壊されていると思いますが、高い商品だからってこれでクレーム付けちゃだめですよ。
ゴッドハンドさんはアルティメットニッパーの注意点を懇切丁寧にサイトで解説されていますので、使用方法を誤った破損は完全にユーザーの責任です。
名刀をヘタクソが握っても使いこなせず刃こぼれするだけなのと同じ。マジでこれ。
これでアルティメットニッパーが弱くて壊れやすいと悪評を付けるくらいなら、めちゃくちゃ切れて耐久性も半端ないタミヤの薄刃ニッパーを買いましょう。
タミヤの薄刃ニッパーはコスパ最強
下記記事でも最もバランスのとれたニッパーとして薄刃ニッパーを紹介しています。
アルティメットニッパーを壊さない使用方法
それでは本題、過去2回の反省から見えてきたアルティメットニッパーを壊さない使用方法をまとめます。
落としたり、ぶつけたりなど強い負担を与えない
はい、もうコレにつきますね。
工具は落とさない!
ただしアルティメットニッパーのグリップは元々滑りやすいので、定期的にグリップを掃除してあげると良いでしょう。(後述します)
ゲートカットのみに使う
アルティメットニッパーはゲートカット専用のニッパーなので、プラ棒やプラ板のカットには適しません。
公式の表記通り、カットはφ3mm以下のプラ材にとどめ、クリアーパーツなどの硬いプラはφ1mm以下までで使うようにしましょう。
そのためアルティメットニッパー以外にもう一本、気兼ねなく使えるニッパーを用意しておくと安心です。
僕はグッスマニッパーをランナー切りやプラ板カットに使っています。
ニッパーの刃は奥の方を使う
ニッパー先端が細く使いやすいこともあり、ついつい先の方でゲートを切ってしまいがちですが、刃の先端は非常に繊細で弱く、破損しやすいです。
刃先が弱いのはゴッドハンド公式サイトでも名言されており、ある時のロットから先端が少し短くなりました。
昔は先端がかなり尖っていました。
クレーム多かったんですかね…
ニッパーは奥のほうまでぐっと入れてカットしましょう。
上の写真のようにできるかぎり刃の奥の方を使えばニッパーの破損対策になります。
刃の根本はしっかりと厚みがあるので、折れることはまずありません
ニッパーを離すまでランナーを動かさない。
多くのユーザーがニッパーを壊すのはこのパターンかと思います。
それはパーツをカットした後、ニッパーを離す前に左手に持った(右利きの場合)ランナーを動かしてコジってしまうことです。
刃物は垂直方向には強く切れ味もありますが、横方向の力には大変弱いです。
刀が刃面で受けても折れないのに横から叩かれたら簡単に折れるのと同じですね。(実物見たことないけど)
これはパーツを切った後、ランナーを持った手は動かさずに、ニッパーをランナーから離すようにすれば対策可能です。
ちょっとの意識で壊さない対策が可能です。
不安な方はパーツをゲートから切り離す場合のみ頑丈な薄刃ニッパーや安いニッパーで作業し、仕上げの2度切りをアルティメットニッパーで行えばOKですよ。
ゲートに対して斜めにニッパーを入れない
ゲートに対して斜めにニッパーを入れると刃に対して斜めに、ねじれる方向に負担がかかり折れやすくなります。
これも工具の取り扱いに慣れていない方にありがちなミスですね。
ゲートは大体四角い断面をしているので、ゲートの平面に対して垂直に刃を入れるようにしましょう。
アルティメットニッパーのメンテナンス
続いてアルティメットニッパーを長持ちさせるメンテナンス方法をご紹介します。
基本は注油のみでOK
ゴッドハンドから純正のメンテナンスオイルが発売されていますので、定期的に注油するのみでOKです。
頻度は月1回を目安におこないましょう。
注油しすぎてもはみ出た油分がパーツに付着したりして良いことはないので、極少量を塗布した後はニッパーをティッシュなどで拭いて余計な油をふき取っておきましょう。
油をふき取る過程で刃全体に油が薄く広がるので、刃面のサビ対策や保護にもなって一石二鳥です。
自動車整備業界では工具を長持ちさせるために、オイルが沁みたボロギレなどで工具を拭き、薄く油膜を塗布するというメンテナンス方法があります。
見落としがちなグリップの汚れの清掃
先ほど滑りやすいグリップが落下の原因と書きましたが、ニッパーを長く使っていると手垢やヤスリの粉などでどんどん滑りやすくなってきます。
幸いアルティメットニッパーの薄いブルーのグリップは汚れが目立ちやすいので、定期的にグリップの汚れはパーツクリーナーや無水エタノール、アルコールティッシュなどで拭いてあげると良いでしょう。
上記のようなカメラのレンズクリーナーなどが手軽に使えるのでおすすめのクリーニング道具です。
模型しながら良く触るスマホやタブレット端末もキレイに掃除できますよ!
ニッパーの調整機構は絶対に触らない
アルティメットニッパーには開閉調整ねじが六角ナットで固定されていますが、調子が悪くなってもそこは絶対に触ってはいけません。
この部分はゲートはカットしつつ刃物同士が接触しないギリギリを狙って職人さんが調整している部分なので素人は触らないようにしましょう。
僕は壊れたニッパーでこれらの部分を弄ってみましたが、状況は全く改善せずむしろ悪化してしまいました。
刃物の国新潟の職人技にパンピーが勝てる訳ないのです。
アルティメットニッパーの寿命はどのくらい?
昔の公式サイトでは約15000回と表記されていましたが、今は何も書かれていません。
150パーツのプラモデルにゲートが3つ付いていて、2度切りして処理すると900回になりますので約17キット作れる計算になりますが、ちゃんとメンテナンスしておけば全然それ以上持つ印象です。
名刀は大事に使って快適モデリング!
いろいろと気を使うこともありますが、やっぱりこの切れ味とゲートカット面の美しさは他の追従を許しませんね。
模型の改造や塗装テクニックを磨くのも良いですが、工具を使う趣味はまず工具を使いこなしてこそ。
大事に良い工具を使って模型を楽しみましょう。
在庫切れで中々買えない工具ですが、間違いなく使った人すべてが感動してしまう最強の模型工具です!
もっと安いニッパーも知りたいよ!という方はこちらを読んでね。