レイウッド(RAYWOOD)さんのDULOグリップ付きタガネ「タングステンブレードPRO」を入手しましたのでレビューします!
昨今、多くの模型用品メーカーさんから発売されているタガネですが、レイウッドさんのタングステンブレードPROは比較的後発の商品になります。
僕自身は普段スジボリ堂さんのBMCタガネを使用しておりますが、最近入手性も悪くネットでは高額流通しており代替になるタガネはないものかと思っておりました。
今回はそういう方も多いと思いますので、使用感の比較などもしていこうと思います。
レイウッド DULO タガネ / タングステンブレードPRO レビュー
外観チェック
強靭な太い刃先が特徴
タングステンブレードPROは他社製品と比較すると非常に分厚く高さのある刃先が特徴です。
刃の幅が薄いタガネは深いスジボリや溝に流されてスジボリラインがブレやすいのがデメリットですが、タングステンブレードPROは厚みを持たせることでブレ低減を狙っています。
また刃の高さも他社と比較するとかなり高くしてあります。幅の厚さと相まって強度面ではタガネ界No.1と言えるのではないでしょうか?
BMCタガネと比較しても御覧の通り。
BMCタガネの厚みが0.3mmぐらいですがタングステンブレードPROは1.5mmと肉厚。タングステンは非常に高価な材料なのですが惜しみなく使われています。
メーカーさんの動画で耐久性を重視し、折ってしまってユーザーさんが残念な思いをしないように配慮したとおっしゃられていたのには大変好感が持てます。
刃先の長さもタングステンブレードPROの方が長いですが、こちらは好みが分かれるところです。
指から刃先が近いBMCタガネの方が彫りやすい方もいるかもしれませんが、刃先の長いタングステンブレードPROは指先で作業面が隠れず視界良好です。
また刃先が短い方がブレにくいですが、タングステンブレードPROは前述の通り厚みがあるのでブレには強いです。
個人的にはあと数ミリ短くても良い感じです!
グリップ付きがうれしい
タングステンブレードPRO最大の特徴はDULOグリップという持ち手が付属することです。
DULOは同社のRC(ラジコン)用の工具シリーズの名称で、「JUST RIGHT PRODUCT(ちょうどいい製品)」のコンセプト通りリーズナブルでコスパの高い用品が展開されています。
グリップ付きだとしっかり握れる反面、重さが気になる方もいると思いますが、グリップ自体はアルミの切削品のため非常に軽量。
上の写真の通り、重量はタガネ部込みで17gですから軽快に作業ができます。
参考までにOLFAのアートナイフが15gなので同等の持ちごたえです。あのナイフが重くて持ちづづけられない!という方はいないと思います(笑)。
そしてこちらのDULOグリップですが、RC用工具とグリップを共用にしてあると思いきや、切削加工が追加されて平面部が4カ所用意されています。
この平面加工によりグリップが若干細くなったおかげで、左の写真のようにタガネを鉛筆持ちしたり、右の写真のように押さえるように力を加えることができるようになっています。
お気付きの方もいると思いますが、右の持ち方はBMCタガネの持ち方と同じスタイルです。
BMCタガネからの買い替えや買い足しの方ですんなりと受け入れられそうですね。
自分は実際ほぼ困らず使い始めることができました。
またこの平面加工のおかげで工具が転がらないのも嬉しいポイント。
作業中のモデラーは工具の持ち替えが多く、机の上にラフに転がすことが多いですからね。
僕は昔ラジコンを結構ガチでやっていましたが、このアルミグリップの工具はRC界ではメジャーな工具なんです。
良いものでしょう?みなさん好きでしょうと言わんばかりの切削加工が所有感を高めていて良いですね。
はい大好きです。
モデラー目線の配慮が効いたモノづくり
タングステンブレードとグリップ両方に刃厚を示す大きな刻印があり、工具の見分けがしやすいです。
刃先に刻印があるため作業中にグリップを持っていても一目で確認できるのはうれしいポイント。
最近老眼が厳しい…というベテランモデラーさんも安心です(笑)。
刃先はイモネジで固定されており、対辺2mmの六角レンチで分解することができます。
使用レビュー
やっぱり使ってみないと真価は分かりません。タングステンブレードPROの実力を見せて頂きましょう!
プラ板を彫ってみましょう
テストピースはWAVEのプラプレート1mmです。
スクラッチビルダーやガンプラ改造派なら大体持っている人気のプラ板。
タミヤ製のプラ板に比べて柔らかく粘り気があり、スジボリするとややケバ立ちやすいのが特徴です。
つまりスジボリはやややりにくい材料です。
反面、メモリ入りで切り出しや改造がしやすかったり、絶妙な柔らかさで曲げたり関節軸を仕込んだりといった加工はかなりやりやすいです。
タングステンブレードPRO VS BMCタガネ
さて早速彫ってみました。皆様気になると思いますのでスジボリ堂のBMCタガネとガチンコ勝負ですよ。
左がレイウッドタングステンブレードPROで右がスジボリ堂BMCタガネです。BMCタガネが折れてしまいもう0.125mmしか持っていないので、タングステンブレードは0.1mmとの比較になります。
写真を見比べてもらえば分かるように、タングステンブレードは刃先が長いため指で隠れる部分が少なく視界良好な点が気に入りました。
BMCタガネは細いのでスジボリ開始点が分かりやすいのがメリットですね。
力の入れやすさはグリップがしっかりしているタングステンブレードPROが断然良く、持ち手の細いBMCタガネが手返しが良いので細かく複雑なスジボリが彫りやすい印象です。
彫り終えたプラ板です。タガネの厚みが違うのでスジボリの傾向を見てください。
比較するとタングステンブレードPRO方が気持ちよくまっすぐ引けていることが分かります。
BMCタガネの方はスジボリの開始点と終点でスジボリが曲がってしまっています。これはBMCタガネが刃を薄くしているためパーツ終端部で刃先がブレてしまったためと考えられます。
それに対してタングステンブレードPROは刃が分厚いため最初から最後まで一直線が綺麗に引けていることが分かります。(BMCタガネの方は直線部も若干ブレています)
工具の精度には剛性がかなり大事なのですが、しっかり刃厚があるタングステンブレードPROは流石の一言ですね。
刃先の切削カスもタングステンブレードPROが少ないですが、これはタングステンブレードPROのほうが新品だからと推測されます。
切削力だけで言えば両差に差はありませんが、グリップがしっかりしていて力をかけやすいタングステンブレードPROのほうが軽い力で彫ることができる印象です。
またこの仕上がりを見ていくら摩耗に強いタングステンといえども刃物は消耗品。定期的に買い換えなければならないな…。と思ってしまいました。
カンナ掛けのようにも使えるタングステンブレードPRO
監修されたコジマ大隊長さんに教えてもらいましたが、タングステンブレードPROは刃の厚みを利用してカンナ掛けのようにも使えるとのこと。
試してみましたが刃の角どの面でも結構な切削力を持っていて驚きました。
パーツの面取りなんかにも安心して使ってもらえます。
引っ掛かりも少なく使いやすいです。
愛用しているファンテックの超硬スクレーパーに近い使い心地で、一本で2役になるスジボリツールという点でもコスパは満点。
逆エッジや深いスジボリ、パーツの切り離しはBMCタガネが便利
凹んだところ、いわゆる逆エッジや深いスジボリは刃幅の狭いBMCタガネが入れやすくて作業しやすいです。
逆エッジの彫り方は記事があるので読んでくださいね。
またガンプラの後ハメやカーモデルのボンネットの切り離しなどなどを行う際に、スジボリツールでパーツの溝を貫通するまで彫って切り離す時がありますが、こういう用途では刃先が細いBMCタガネが向いています(ただし折れやすいのでご注意を!)
RAYWOODさんに要望!
先ほど紹介したパーツの切り離しになどに特化した先細りの「パーツカット用タガネ」作ってもらえませんか~!
まとめ:モデラーに寄り添う高耐久タガネ、おすすめです!
ということでレイウッド(RAYWOOD)さんのDULOグリップ付きタガネ「タングステンブレードPRO」のレビューでした。
タガネ系ツールとしては後発ながら、しっかりと独自性と使いやすさが考慮され、プロ監修ということもあり非常に使いやすい工具に仕上がっています。
それでいて比較的リーズナブルなお値段で買え、替え刃などのアフターサービスもしっかりしているのも嬉しい。
昨今BMCタガネが供給不足と転売により高額化しているので、代替をお探しの方や、スジボリを始めてみたい方、工具の耐久性を重視される方など幅広いモデラーさんにおすすめのツールです。
初回購入はセット購入がお得です!
タングステンブレードPROのラインナップは0.075mm、0.1mm、0.15mm、0.2mm、1mmとなっており、単品販売のほかセット販売もあります。
ばら売りや替え刃もあるので下記リンクをチェックしてみてくださいね!
5本セットなら1100円お得。
5本セットは0.075mm、0.1mm、0.15mm、0.2mm、1mmのフルラインナップです。
3本セットなら960円お得。
また0.075mm、0.1mm、0.15mmの3本セットもあります。
スジボリだけするならこの3本があれば、ガンプラの1/144からMGサイズまで十分カバーできます。
今回レビューしたのもこちらのセット。管理人かずもイチオシです。