最近バンダイからも発売され、WAVE、マックスファクトリー(PLAMAX)と重厚なラインナップになってきた「装甲騎兵 ボトムズ」のプラモデル。
作ってみた!作ってみたい!という方も多いのではないでしょうか?
ただボトムズのプラモデルで避けては通れぬ道ともいえるのが「パイロットフィギュアの塗装」です。
パイロットフィギュアの塗り方はロボットのプラモデルの塗り方とは全く異なり、塗り方が分からない、塗れない、だから作れない…という方も多いのではないでしょうか?
今回はそんな方たちに役立つ「パイロットフィギュアの塗装方法」をご紹介します!
ここはぜひフィギュアを仕上げて作品の魅力をアップしてみましょう!
今回は先日作ったWAVEの1/35 ブラッドサッカーに付属していたパイロットフィギュアで解説していきます!
用意する道具
基本的にはプラモデルを塗装する一般的な道具があれば大丈夫ですが念のためご紹介。
エアブラシ
下地や胴体などの大面積塗装に使います。筆塗りが得意な方はなくてもOK。
僕は下記のクレオスのセットを使っています。
エアブラシをお持ちでない方、使ってみたい方は下記記事を読んでみてくださいね。
筆
フィギュア塗装に必須の筆です。今回はこちらの方が重要。
筆は良いものを買ってください。安い筆では綺麗に塗ることもできず寿命も短いです。弘法筆を選ばずなんて嘘です(笑)
筆はタミヤのモデリングブラシ PRO II がおススメ。お値段とクオリティのバランスが良いです。
とりあえずは極細と
細の2種類があれば良いでしょう。
基本細かい塗り分けなどは筆で行うのでマスキンググッズなどは不要です。
フィギュアの組み立て
ということで早速塗っていきましょう…と言いたいところですが、まずはフィギュアの組み立てを行います。
フィギュアはまず組み立てが重要!
フィギュアの組み立ての時にちょっと配慮をしてあげるだけで完成度や塗装のしやすさが大幅アップしますのでぜひ挑戦してみてください。
パーツの切り離しと仮組
フィギュアはまず仮組が大事です。パーツを切り出して各部のパーツがしっかり合うかを確認してください。
この時フィギュアにあるパーティングラインはヤスリなのでしっかり処理してください。
実際の人間にパーティングラインなんてありませんからね。
着座タイプのパイロットの場合はシートに座らせて腕の角度も確認しておきましょう。
操縦桿が握れていないとカッコ悪いですから。
ひと手間加えて完成度を上げよう!
前腕とケーブルの間が抜けていないのでナイフを使って開口しておきます。
完成後はあまり見えませんがグッと密度感は上がってくれます。
またパイロットスーツとベルトやブーツなど塗り分けの境目になる部分をケガキ針(ニードル)などで彫り込みます。
こうしておくと完成後のフィギュアに立体感が出るほか、塗り分けの境目にスミ入れができるので仕上がりがパリッとさせられます。
スジボリできているかの確認は実際にスミ入れして確認すると良いです。入れたスミは拭き取らなくてもOK。
曲面の多いフィギュアを彫り込むにはタガネよりニードルがおすすめです。
僕のおススメはラインチゼル廻し彫り用。安いのに刃先が全然チビないのでおすすめです。
使用するにはホルダーが必要です。しっかり彫りやすい純正品を買っておきましょう。
接着してポージングを固めよう
キットはスナップフィットなので接着は不要ですが、ポロリすると塗装がやりづらいので接着してしまいましょう。
接着する時は流し込み接着剤を使って隙間をムニュっと埋めておきましょう。
実際のスーツは継ぎ目なんてありませんので、隙間がないほうがリアルです。
接着剤で衣装の隙間を埋めるテクニックは戦車模型のフィギュア製作では超一般的なテクニックです!
またマスクのパーツを接着してしまうと胴体が塗りづらいので、今回は接着していません。
フィギュア製作は塗装前の準備が大事!
以上で塗装前の工作は完了です。
塗装前のひと手間で次の塗装や仕上げがとても楽になるのでぜひ挑戦してみてください。
フィギュアの塗装
それでは塗装していきましょう!
下地(エアブラシ)
下地1:ブラック
- ガイア サーフェイサーエヴォ ブラック
まずは全体をブラックで染めます。
この黒は先ほど彫ったスジボリの溝や衣装の溝などに入り込み影になってくれます。
下地2:グレー
- ガイア ニュートラルグレーIII+ニュートラルグレーIV
続いて下地のグレーを塗ります。ここはニュートラルグレーIIIとIVとミックスしてみました。
クレオスのサフが近い色なので、調色が面倒な方はそちらでもいいかもです。
この色も全体に吹き付けてしまって構いません。
ハイライト(筆塗り)
- ガイア サーフェイサーエヴォ ホワイト(筆塗り)
続いてハイライトを筆で描き込みます。
アニメやイラストで衣装に光が当たっている部分が白く描写されたりしますが、その部分をハイライトと言います。
キリコは大きなスケールのフィギュアも売っているので、見本にしながら衣装にハイライトを描き込んでみましょう。
ハイライトは衣装が出っ張ている部分を中心に描き込んでみましょう。
服のしわが出ている部分は光が当たって白くなり、服のしわが凹んでいる部分は光が当たって影になります。
この意識があるだけでハイライト入れはとてもやりやすくなりますよ。
スーツの塗装(エアブラシ)
- タミヤ ピュアーオレンジ + ガイア ブライトレッド + ガイア ピュアホワイト
スーツはオレンジベースにレッドとホワイトを足して鮮やかにして塗装。
塗装は全体に吹き付けてOKです。
先ほどグレーのシャドウをとハイライトの白で塗り分けたため、発色の悪いオレンジを吹くと勝手に衣装に陰影が付きいてグラデーション塗装のようになります。
また上記画像の先ほどスジボリした部分を見てみてください。黒いラインが入っているのが分かると思います。
最初に吹いた黒サフが溝に入り込んでいるのでこのようになっています。
これで塗り分けラインが見やすくなって後の作業がやりやすくなりますね。
ブーツ、ベルトの塗装(筆塗り)
- クレオス マホガニーサーフェイサー
ブーツ、ショルダー、ベルトなどをマホガニーの筆塗りで塗り分けます。
僕はマホガニーサフしか持っていないのでサフを使っていますが、通常塗料のマホガニーでも大丈夫。
塗料はシンナーでやや薄めに溶き、少しづつ重ねていくと良いでしょう。
多少筆ムラがあってもトップコートや汚しで目立たなくなるので思い切っていきましょう。
ヘルメットバイザーの塗装(筆塗り)
バイザーの塗り分けはかなり小さいので頑張ってやりましょう!
- ガイア Exホワイト(筆塗り)
バイザーはグリーンなのでオレンジの上では発色しませんから、先にホワイトで塗っておきます。
最初にスジボリしていたおかげでかなり塗りやすいと思います。
スジボリの溝が防波堤のようになってくれて塗料がはみ出しにくくもなるので、事前のスジボリはメリットたくさんです。
- ガイア 蛍光ブルーグリーン + ガイア Exクリアー
蛍光ブルーグリーンは濃く塗りすぎるとバイザーの透け感が減ってしまうので少し薄くして塗りたいところですか、あまりにシンナー薄くすると流れて塗りにくくなってしまいます。
そういう時はExクリアーを混ぜてあげると、塗料を薄めすぎずに透明度をアップさせることができます。
クリアーカラーや蛍光カラーにクリアーを混ぜて塗料の硬さは損なわずにクリアーの透明度を上げるテクニックは色々なところで使えるテクニックなので覚えておくと便利です。
装備の塗装(筆塗り)
- 酸素ボンベ本体:ガイア ニュートラルグレー III
- 酸素ボンベマスク部:ガイア ニュートラルグレーII
- 酸素ボンベメーター:ガイア サンシャインイエロー
- 酸素ボンベホース:ガイア メカサフヘヴィ
- ゴーグル:ガイア メカサフヘヴィ
- 腰部ベルト:ガイア メカサフ ライト
- ゴーグルのレンズ:白下地の上に蛍光ブルーグリーン+クリアー
細かいですが頑張って塗っていきましょう。
1/35など小さいスケールで塗装が細かくて難しい時は面相筆をさらに細いものに変えると良いでしょう(あまりに極細の筆も扱いが少し難しいですが…)
キットで紹介されている塗装ガイドはかなり簡略化されているので、設定画やアニメを参考に塗り分けを追加したり色味を変えてあげるとグッと雰囲気がアップします。
基本塗装ができました!
これにて基本塗装が完了しました。もうこれだけでめちゃくちゃATパイロットじゃないですか?
大面積はエアブラシで済ませて細かい所は面相筆で!これだけでばっちりです。何度も言いますが良い筆を用意するのが綺麗に塗装するコツです。
スジボリと黒下地でバイザーのあたりはかなりくっきりと塗り分けられていますし、塗料も薄めに希釈して何度も重ねたので筆ムラもそれほどないと思います。
実際のフィギュアは全高4cm程度なので、皆様が見られている画面次第では実物よりかなり大きく見えているはずです。上の写真の仕上がりだと実物の塗り分けの甘さや筆ムラはほぼ目立たないので安心してください。
では続いて仕上げに移っていきましょう。
トップコート(エアブラシ)
- クレオス スーパースムースクリアー
トップコートを入れてツヤを落とします。もう全然筆ムラが目立たないでしょ?
筆ムラをより目立たなくさせたい時は、今回使っているスムースクリアーやガイアノーツのプレミアムフラットクリアーなど、トップコートにフッ素入りの物を使うと良いです。
ウォッシング
ダークグレー系のスミ入れ塗料やエナメルのジャーマングレーなどを溶剤で薄く溶いてフィギュア全体に塗りたくり、綿棒で拭き取ってウォッシングします。
塗装だけでも陰影がありましたが、さらに立体感が出てくれます。
バイザーの光沢出し(筆塗り)
- タミヤ エナメルクリヤー
バイザー部にエナメル塗料のクリアーを面相筆で塗ります。これでグッとバイザー感が増しますよ。
昨今はUV硬化のクリアーもありますが、あちらは粘度が高く表面張力と硬化でもっこりしてしまうので、クリアー塗料がおすすめです。
せっかく塗ったバイザーの色が溶けないようにクリアーはエナメルのものを使いましょう。
ウェザリングマスターで汚し
最後にウェザリングマスターを使って衣装に陰影や汚しを入れます。
ブーツや肩、酸素ボンベなどのエッジにウェザリングマスターを擦り込んでドライブラシのようにしてあげるとスーツに使い込み感が出てきます。
ATパイロットの衣装は使い込まれているほうがカッコいいですから、汚しの度合いは好みで調整してください。
フィギュアの完成!
工作、塗装、汚しを行ってフィギュアの完成です!
どうでしょう?しっかり塗分けてあげるとたった4パーツのフィギュアがこんなにも立体的に!
素組と見比べてみましょう。もうめっちゃむせますね。
どうですか~!今までフィギュアを塗ってこなかった人も塗ってみたくなってきたでしょう?
当記事を参考にぜひ挑戦してみてください!完成したらSNSで見せてくださいね。
ATに搭乗させてみました。やっぱりフィギュアがあるだけでグッとモデルに魅力とストーリー性が付与されますねぇ。
最初は難しいかもしれませんが、慣れるととても楽しいのがフィギュアの塗装です。
余談ですが、今回作ったブラッドサッカーはめちゃくちゃカッコいいのでおすすめです。
WAVE版のボトムズシリーズは少し組みにくい所もありますがプロポーションは抜群なのでぜひ挑戦してみてください!
WAVEはPS版とST版があり、PS版がコクピットとパイロットフィギュア付きです!