ガンプラには様々なディテイールアップがありますが、最も基礎的かつ効果的なのに意外とみんなやってない工作を紹介します。
それは逆エッジ彫り。
一本新たにスジボリを引くセンスも必要ないですし、だれでも簡単に行えますので是非挑戦してみてください。
そもそも逆エッジって?
全員がそう呼んでいる訳ではないと思うので、まずは逆エッジについて解説します。
逆エッジはパネルラインの一種

逆エッジとはパーツの段差がある部分に生じるスジボリではないパネルラインのことです。

図にするとこんな感じ。
大体イメージがつかめましたか?観察してみると意外と多くの場所に逆エッジが存在していることが分かると思います。

上のパーツだけ見ても逆エッジのほうが多いですよね
逆エッジはそのままだとスミが流れない
逆エッジは一見パネルラインに見えるのでスミ入れしたくなりますが、先ほどの画像を見ても分かるようにスジボリのような溝状のモールドになっていないため上手くスミ入れが決まりません。


取説の完成見本は逆エッジにスミが流れている現実
普通に組むとスミ入れがキレイにできない逆エッジですが、バンダイの完成見本の逆エッジにはきっちりスミ入れが決まっています。


これは先ほどの逆エッジ紹介でお見せしたパーツが使われているMGプロトゼロですが、ふくらはぎのモールドやフロントスカートの逆エッジにもキレイにスミが流れています。
バンダイの完成見本もきっちりと彫ってある逆エッジ。その割にはネットで作製されている作品を見ると意外と処理を見落としされていたりします。
なので今回はこの逆エッジをキレイに彫り込むことで美しくスミを流し、より引き締まったガンプラを作ってみようというHowtoです。
ちなみにプロトゼロは中々カッコいいキットなのでかなりオススメですよ。
使用する工具
色んな工具を使用しますがBMCタガネ以外はそんなに高くないのでボチボチ揃えてください。


各工具の使い方はやり方の行程で詳しく説明しますので早速作業してみましょう!
逆エッジ彫りのやり方
丁寧に作業すれば非常に簡単です!
工程1:アタリ付け
最初に逆エッジに沿ってなぞるようにラインチゼル廻し彫り用でアタリ線を付けます。


最初のアタリ付けで逆エッジ処理の仕上がりの8割が決まります。
ここでチゼルが脱線したり線がガタガタになると、後のスジボリ工程でそのままガタガタに仕上がるのでとにかく慎重に作業しましょう。
最初は工具の重さだけでアタリ線を付けるくらい力を入れないように作業するのがコツです。
ラインチゼル廻し彫り用がオススメなワケ
この作業はケガキ針やニードルでも行えますが、僕のオススメは断然ラインチゼル廻し彫り用。
ラインチゼル廻し彫り用は先端の尖り具合が売られているニードル系工具の中で最も鋭く、刃先の部分が焼き入れ処理されているため高強度なのが特徴です。
焼き入れ処理と硬い刃先で細いアタリ線を付けることができますのでシャープなスジボリ処理に適しています。



しかも意外と安いです(ホルダー別売りですが)
工程2:ラインチゼル0.1mmでスジボリ
逆エッジにアタリを付け終えたらその部分をラインチゼルでスジボリします。


こちらも彫り始めは慎重に力を入れないように作業しましょう。
スジボリは図のように逆エッジ対して横から入れるとクドイスジボリになりません。


またスジボリする回数は3~5回を目途に深くならないように仕上げましょう。
ラインチゼルがおすすめなワケ
ラインチゼルはスジボリ系刃物の中でも比較的安い上、なぜか0.1mmの割にはタガネの0.1mmより細いスジボリができるので今回のようなシャープなスジボリには便利です。
タガネで仕上げてもOK
個人的にこの作業はラインチゼルの方がやりやすくてオススメなのですが、他のスジボリをタガネで処理している場合は同じタガネを使って太さを揃えてあげるとより自然になりますよ。


これも刃物を入れる角度はタガネと同じで作業します。
工程3:ヤスリでバリ取り
0.1mmクラスのスジボリツールでスジボリすると加工面にバリが発生しますので最後に紙ヤスリでバリを処理します。


バリの処理は紙ヤスリの#600程度を折りたたんだもので削ぐように作業するとキレイに仕上がります。
ヤスリは折りたたんだ硬い部分を使うとキレイに仕上がるので、何回か作業したらヤスリを折りたたみなおして作業し直すと良いですよ。
逆エッジ彫り完了!
作業完了したパーツがこちら。


先ほどまでなだらかだった逆エッジにキレイなスジボリが入りました。


彫った逆エッジにスミ入れしてみました。
逆エッジを彫り込むことでスミ入れがツーっと気持ちよく流れてくれます。



これは病みつきですぞ
加工前と加工後を比較してみました。


加工箇所にスミ入れが入るか入らないかで全然キットの完成度が変わってくると思います。


今回の加工見本に使ったMGプロトゼロの場合、フロントスカートアーマーの逆エッジなどは非常に効果的なポイント。
逆エッジ彫りは既存のモールドを別パーツっぽく見せてディテイールアップすることができるので、キットの素性を生かしてガンプラを仕上げたり改造派は苦手だけど素組みからワンステップ上を目指した作品作りにはぴったりな工作です。
プロモデラーさんの作品を見るとこういうポイントは確実に落とさず仕上げてきているので、スキルアップのためにもぜひマスターしちゃいましょう~。



僕みたいな改造下手には必須テクです(笑)
おまけ:ラインチゼルホルダーについて
今回の工作で使ったラインチゼルという工具は刃物とホルダーが別売りになっています。


この純正ホルダーは適度な重さがあり今回のようなアタリ付け作業で力を入れずに作業するのに非常に向いています。
お持ちでない方は0.3mmの刃物とセットになったチゼルセットの購入がオススメ。
対してスジボリ作業には軽くて安くて握りやすい三菱鉛筆の2mmシャープペンシルがおすすめです。
チゼルをちょうど良くホールド出来、持ち心地はシャーペンのそれなのでスジボリ作業が非常にやりやすいです。
チゼルが増えるとホルダーが沢山ほしくなるのですが、そんな時はこのシャーペンを買えば経済的です(笑)