前回のカーモデルの作り方講座第二回目はボディの表面処理編でした。記事が一人でも多くの人の役に立ってカーモデルモデラーが増えてくれると嬉しいこの頃です。
さて今回はボディの窓枠塗装編。
前回の表面処理編から工程が飛んでしまうように感じるかもしれませんが、窓枠塗装はボディの下処理(表面処理)段階に行う作業でクオリティが大きく変わってきますので今回の記事を第3回目に入れることにしました!
今回の記事を読んでもらえたらこんな風に…
アップで見てもぴっしと綺麗に塗分けられるようになるはずです!
- 窓枠の塗装は基本工作段階仕上がりが決まるということ
- 塗り分けをやりやすくする加工方法
- シャープに塗分けるマスキング方法
- リアルに見える塗料の選び方
- 塗装後の修正作業
などなど…
カーモデルの出来栄えの8割を決める窓枠塗装
個人的に窓枠塗装はカーモデルの仕上がりの8割を決めると思っています。
各パーツをしっかりディティールアップしボディの塗装がうまくいっても窓枠の塗装がガタガタだったり不自然なツヤだったりすると非常に大きな違和感に感じてしまいます。
逆に言うと窓枠をしっかりパリッと塗分けられているとそれなりに見栄えがするのもカーモデルの特徴です。
ぜひカッコよく窓枠を塗装して自分のモデルをワンランク上に仕上げてあげましょう!
窓枠を塗り分けやすくするための加工方法
窓枠をシャープにするためのマル秘加工方法とは?
窓枠塗装でマスキングは非常に重要な作業ですが、それ以上に重要な作業がボディの塗装前にあります。
それはボディと窓枠の境目をスジボリして、しっかりと段差を付けて区切ってあげること。
窓枠の境目を彫り込んで別パーツのようにしてあげることでマスキング時のガイドにしやすくなり塗装が綺麗に決まるようになります。
さらにこのスジボリ部にスミ入れができるので塗装の境目が少々ガタついてもスミ入れでカバーすることができます。
スジボリの難易度は少々高いですが基本的にいいことづくめの加工ですので、ぜひチャレンジしてみましょう!
加工のやり方
事前準備
窓枠加工は一番最初にやっても良いですが、捨てサフを吹いてモールドが分かりやすくなっている時が一番なので、前回のHowto2回目のヤスリがけ終了後くらいにやるのがおすすめです。
STEP1:窓枠の境目をニードルでなぞる
まず最初にスジボリの前段階として窓枠とボディの境目をなぞってアタリを付けます。
使用している工具はMr.ホビーのラインチゼル廻し彫り用。ニードル系工具の中では比較的安いのに焼き入りで先端がかなり細いのでアタリ付けには最適な工具です。(別途ホルダーが必要ですけどね)
ラインチゼルは窓枠とボディの境目のL字になっている部分に、ニードルの先端を乗せるように置いて力を入れずになぞります。
力を入れると脱線してボディに傷をつける原因になりますのでとにかく力を入れず、何度も回数を重ねて少しずつアタリをつけるのがコツです。
脱線が怖い人は周囲にマスキングテープを貼って保護すれば安心です!
境目はパーツの抜きの都合でごくわずかなRがついており直角ではありません。そこをニードルでくぼませてしっかりとした垂直にしてあげるイメージで作業してください。
STEP2:ラインチゼルやタガネで彫り込む
続いてなぞった部分をラインチゼルやタガネで彫り込みます。
僕はここではMr.ホビーのラインチゼル 0.1mmを使っていますが、スジボリ堂のBMCタガネなどスジボリをする刃物系ツールをお持ちであればお好みのものを使ってもらって構いません。
0.1mm以上の太い刃物を使ってしまうとスジボリが太くなりすぎてスケール感を損なうので、なるべく薄い刃物を使って作業するのがおすすめです。
刃物は寝かせると脱線しにくく、モールドに対して斜め45度に入れるとより細い見た目に仕上がります。
あまり細い刃物を使うとスジボリがケバ立ちますが、最後にヤスリをかければOKです。
STEP3:存在していない塗り分けラインを追加する
取説を見ればわかりますがZ34は窓枠の後端はボディのくぼんでいる部分の半分だけをマスキングして塗装しなければなりません。
しかしボディのこの部分は金型から抜く都合上塗り分けのガイドにできるモールドがなく、マスキングは目測で行わなければなりません。
この状態で綺麗にマスキングして塗るのは非常に難しく、塗装の境目が綺麗に仕上がりません。
ここは新規にスジボリを追加して塗装のガイドを作ってあげましょう。
ボディの向きが左右入れ替わって申し訳ないですが、スジボリのガイドにするマスキングテープを貼り付けます。
使っているテープはスクエアというラジコンパーツメーカーのハイグレードマスキングテープです。
ハイグレードマスキングテープは適度な厚みと曲面追従性があるのでスジボリのガイドとして使えます。カーモデルのボディは曲面が多いので、スジボリをするときは便利なツールです。
テープの位置が決まったら、そのテープをガイドにして先ほどの窓枠と同じようにニードルとタガネをつかって彫り込みます。
ハイグレードマスキングテープは厚みがありますが強く力を加えると簡単に歪んでしまうので、ニードルのアタリ付けは先ほどの窓枠以上に力を入れずに作業してください。
ニードルのアタリが綺麗にできればタガネの彫りこみは簡単なので、まずはニードルがずれないように綺麗に作業しましょう!
STEP4:スジボリの仕上げ
スジボリができあがりました。
ここで一回スミ入れを入れてスムーズに流れるか確認しておきましょう。綺麗に流れれば本番の塗装後も綺麗にスミが流れてくれます。
スジボリ部をよく観察するとバリなどが発生しています。最後にここを綺麗に処理して仕上げましょう。
発生したバリはサンドペーパーを折り曲げたもので丁寧にそぎ落とします。#600から始めて#800で仕上げましょう。
実車の窓枠(ウェザーストリップ)はゴムで出来ていてプラモデルのように角ばっていませんから、スポンジヤスリで角を軽く丸めておきました。
この作業は別にマネしなくてもいいですが、意外とこのウェザーストリップの形状に言及しているモデラーさんは少なく、じつはかなりウソくさいモールドなのに受け入れられている現実があります。
なので自分は毎回オリジナル加工としてウェザーストリップが柔らかいRになるように加工をしています。
スジボリ作業完了!
これでようやく下準備が完成!作業は大変ですがこれをやるだけで抜群にシャープな窓枠塗装ができるのでぜひ挑戦してみてください!
多くのカーモデルで前後の窓枠はスジボリが最初から入っているので、それをそのままガイドにしてマスキングをすればOKです。前後の窓枠のスジボリが浅い場合はタガネなどを使って軽く彫っておくと良いですよ!
記事が長くなってきたのでマスキング作業と塗装は次のページで解説しますよ!