カーモデルのボディ塗装は神経を使う作業です。
ホコリが噛み込むのは当然NGですし、キレイに塗れても良く見たら下地の傷が…なんてこともあります。
今回はちょうどやらかしたので(笑)製作中のタミヤ 1/12 ポルシェ カレラGT を使って塗装後のボディをキレイにかつ部分的に修正する方法を紹介します。
- 使わない穴などを埋める加工を忘れたまま塗装をしてしまい後から穴埋めをしたい場合
- 塗り終えた後のパーツをぶつけて塗装がかけてしまった場合
結構使えるテクニックなのでぜひ挑戦してみてくださいね。
これでカーモデルの塗装を失敗しても完璧!
ミスらないのに越したことはないですが…(笑)
修正その1:穴を埋め忘れて塗装してしまった場合
コンペの締め切りもあり寝不足で作っていたらさっそくやらかしました。
下の写真の丸部。ここは元々キットではネームプレートを取り付ける穴になっています。
しかし、カレラGTはスーパーカーです。
ネット画像を検索してもカレラGTにフロントナンバーやネームプレートを付けている車両は見たことがありません。
それにプレートがあると折角の美しいカレラGTのお顔にちょび髭が付いているように見えて少し残念な気も…。
せっかくキレイに塗装はできましたが、ナンバープレート無しで作るにはこの穴埋めは必須の作業なので、頑張って修正してみたいと思います。
①まずは穴を埋めます。
先に塗装を剥がす方もいますが、どうせ後からヤスるのでまずは穴を埋めます。
適当なランナーをライターで炙って太めに伸ばしたものを埋めたい穴に突き刺します。鼻血ブー(違)
穴埋めはパテでも良いですがパテとプラの硬さが違うのでヤスリがけが難しくなるのと、ヒケや乾燥時間など気にしないといけない要素が増えるので僕の穴埋めオススメはプラ棒です。
修正対象のパーツがついていたランナー(今回の場合ならボディのランナー)なら材質が同じでキレイに修正しやすいのでよりおすすめです。
プラ棒とパーツの隙間を完全密着させるためにも、接着剤は流し込みセメントや流動性の高い瞬間接着剤がおススメ。
今回僕はWAVEの瞬間接着剤を使いました。
②プラ棒をヤスリで平らにしつつ、ボディの塗装も剥がします
飛び出したプラ棒をニッパーで大まかにカットしたら、普段のゲートを処理するようにヤスリで平滑に仕上げます。
今回は部分修正のためヤスリをかける範囲は最小限で進めます。
ヤスリをかける範囲が小さいほど再塗装面積が小さくて済むので後の塗装作業が楽になります。
上の写真を見ると白い分(プラ)、グレーの部分(サフ)、卵色の部分(下塗り)、黄色(本体色)とこれまで塗装してきた過程が良く分かる断層になっていますね~。
この断層見るのは楽しいけどやっている側は色々ツライ(笑)
ヤスリはWAVEのヤスリスティックSOFT#600と#800で磨いた後、ラプロスの#2400(紙ヤスリ1000番相当)で仕上げました。
③マスキングして再塗装用の下地を塗ります。
表面処理がキレイにできたら修正塗装に入っていきましょう。
最初にサフから始めますが、塗料のミストがキレイに塗れている面を汚さないようにマスキングをしてから塗装します。
- 塗装色:下地の色、又はサーフェイサー
※今回のカレラGTはイエローで塗装していますので、白サフにイエローを混ぜた卵色を塗装しています。
今回は本体色がイエローなので下地を卵色にしていますが、作業される時は自分の塗りたい色に合わせた下地(赤ならピンクサフ下地とか)にしてくださいね。
マスキングして塗装するとマスキングテープの境目で塗料が溜まり段差になってしまいますが、これは修正できるので気にしなくて大丈夫です。
焦らずじっくりと乾燥を待ちましょう。
④塗装の段差を削ります
先ほどの下地塗装でできたマスキングテープ部の段差を削って平らにします。
この作業超重要です
塗装の段差消しには普通のヤスリではなくGSIクレオスのMr.ラプロス#4000(ペーパー2000番相当)を使います。
ラプロスはきめが細かくて柔らかい研磨シートなので、塗装面に非常に優しいのがメリットです。紙やすりと違って深い傷を付ける心配がありません。
塗装の段差があるかないかは指でなでればすぐにわかるので何度も確認しながら少しずつ削っていきます。
指先というのはすごく繊細な感覚があるらしく、微妙な傷や凹みなどは機械以上にシビアに判断できるとか…
上記写真の段差部に注目してください。
キレイに段差がなくなるとこれまでしっかり見えていた塗分けの境目がぼんやりしてきます。
ぼんやりしている=塗膜(段差)が薄く平滑になっているのと同義なので、ぼんやりしているほど修正が上手くいっていることになります。
上記の写真くらい下地塗装の段差をなじませることができたら、下地全体をラプロスの#4000~#6000で磨いてザラツキを完全に取っておけば下地の準備完了です。
⑤再び本体色を塗装
最後に本体色を再塗装します。この作業をする時はマスキングをしなくてOK。
塗装前に一度パーツを洗浄して細かいゴミを取っておきましょう。
ヤスリ作業の粉は思った以上にいろんなところに付着していますので歯ブラシなどを使った水洗いは必須です!
仕上がったのがこちら。
キレイに穴が埋まってまるで元から開いていないような質感になりました。
仕上がったのがこちら。キレイに穴が埋まってまるで元から開いていないような質感になりました。
修正前の画像と見比べてみましょう。
ラプロスで段差を入念に処理しているので、修正面の境目は大変キレイに仕上がっていることが分かります。
説明した工程を読んで頂ければわかる通り、修正作業は塗装テクニックよりもいかに修正部分の表面と下地をキレイに仕上げるかにかかっています。
修正が上手くいかない方の原因の多くはヤスリ掛けと仕上げが甘いことです。
今回は入念にヤスリを書けることで上手く形状修正と再塗装をすることができました。
今回のテクニックを利用して頂ければ部分塗装修正でもとてもキレイに仕上げることができますよ。
今回は穴を埋め忘れたことによる修正作業でしたが、ボディの傷や塗装欠けなども同じ方法で修正できます。
その場合は工程②番のヤスリがけによる塗装剥離から始めましょう。
修正その2:塗装が欠けてしまった場合の補修方法
塗装したボディを触っていたり研ぎ出したりしているとついつい机のカドにぶつけてしまったりするものです。
恐る恐る確認したらやっぱり欠けているっ…悲しい模型あるあるですね(僕だけ!?)。
今回も展示会を終えて作品チェックをしていたところ塗装欠けを見つけてしまいました…
修正その2では、このような欠けた塗装を復活させてみましょう。
これくらいの小さな欠けであれば、修正方法その1のように塗装を剥がさなくても修正可能ですよ。
① 欠けた部分にボディカラーを筆塗りします
下の写真のように欠けた部分に塗装したボディカラーを筆塗りします。
塗料はあまり薄めなくていいです。最近の新品ラッカー塗料は初めから薄めなので、塗料が糸を引くようなコンディションでなければ希釈しなくてもOKです。
コツはボディカラーを筆塗りするというよりは「塗料を盛り付ける」イメージで欠けた部分に擦り込むことです。
塗料は乾燥するとかなりヒケますし、盛った部分は後から削って平らにしますので今はとにかく盛ることが大事です。
この修正方法は塗料をパテ代わりに使うわけですね。
塗料を盛り付けたらしっかり乾燥させましょう。自然乾燥で2~3日、下のような乾燥器があれば1日もあればOKです。
②盛り付けた塗装をラプロスで削ります
塗った塗料が乾燥したら修正その1でも紹介したラプロスを使って、盛り付けた部分を平らに削っていきます。
写真はラプロスの4000番(ヤスリ2000番相当)を使用しています。
ラプロスは水研ぎで少しずつ削りましょう。
水研ぎをするとより滑らかかつ繊細に削り作業を行えますし、塗装面に深い傷をつけにくいです。
削っているとどうしても塗料を盛った部分以外も削れてしまいますが、後でコンパウンド仕上げするのでそれほど気にしなくてOKです。(できる限り修正用塗料を盛ったところ以外は削らないほうが良いのは間違いないですが)
余計なところを削って下地を露出させてしまわないように注意してください。
③仕上げにラプロス周辺も含めてラプロスの高番手で磨きます
今度はラプロスの6000番と8000番で削ったところとその周辺を磨きます。同じく水研ぎで進めてください。
どうでしょうか?修正した箇所がほとんど目立たなくなってきました。
8000番までコンパウンドを入れるとツヤもだいぶ回復してきてくるはずです。
④コンパウンドで仕上げ
最後にコンパウンドで磨いて仕上げます。
普通ならクリアーコートをすべきですが、今回のようなカド部の小さな欠けであればクリアーなしのコンパウンドだけで十分なツヤが出せます。
盛り付けた塗料は厚みがあるので少しくらいコンパウンドで磨いても剥げたりしないのでご安心を。ただし強くは擦らないでくださいね。
ラプロスが8000番まで入っていれば、下記のセラミックコンパウンドでいきなり仕上げてOKです。
力を入れずに少しずつ磨いてください。
上の商品でセットになっているコーティングポリマーまで仕上げれば完璧です。
バッチリ直りました
どうでしょうか?完璧に直ってしまいました!
修正前と比較してみましょう!
いかがでしょうか?とてもキレイに直っていませんかね?
塗装した塗料をそのままパテ代わりに使って修正するテクニックは完成したモデルや固定した後のモデルなどエアブラシが使いにくい場合にも活躍する必殺技です。
習得しておいて損はないですよ!
この作業実車の板金っぽいですよね
作業を見てお気づきの方もいると思いますが、今回の作業は自動車板金の作業にそっくりです。
カーモデルのボディメイキングは実車の板金作業に通じるところがかなりあります。
つまり模型でもやってやれないことはありません。(僕は板金経験者なので言えますが実車のほうが難しいくらいです)
修正作業が上手くできるようになると「失敗してもやり直せる」という自信が付き、カーモデル作りに余裕が生まれます。
今回紹介した技法はカーモデルだけでなく、ガンプラや美少女プラモといったキャラクターモデル製作などにも応用できますのでぜひ身に着けてみてください!
直せる方法が分かれば、失敗なんて怖くありません!