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プラモデルのABSパーツ割れや破損の原因と、それを防ぐ2つの対策

ABSパーツを採用するガンプラや美少女プラモといったキャラクターモデルの組み立てに苦労していらっしゃる方はいませんか?

ABS樹脂はプラモデルに最も使われているスチロール樹脂に比べ耐摩耗と柔軟性に優れており、従来のスチロール樹脂ではヘタってしまう関節などの摩耗問題をクリアーすることができるようになりました。

しかしABSは溶剤に非常に弱いという物性があり、ABSパーツを塗装したりスミ入れするとパーツが割れたり、折れたりするトラブルが見られます

大切なプラモデルがバキバキになってしまい悲しい思いをしてしまわれた方も多いと思います。

かず

昔MGボールをバッキバキにしましたよ僕は

今回はそんな悩める皆様にABSを全塗装しても割らずに組む方法をご紹介します。

目次

そもそもABSが割れる理由はパーツに負担がかかっているから

世の中にはABSの製品は沢山ありますが、それらは塗装されているのに割れやすいなぁと思ったことはあまりありませんよね?

ABSパーツが塗装や組み立て、可動で割れてしまうのはプラモデル特有の事情があるからなのです。

スナップフィットにかかる負担が諸悪の根源

接着剤不要で組み立てられる昨今のキャラクターモデルでは欠かせないスナップフィットですが、パーツをはめ合わせる時にピン(出っ張り)とダボ(穴)にはパーツを押し広げるような大きな負荷がかかっています。

この組み立て時にかかっているストレスはパーツに細かい亀裂やシワを与えており、そこに塗装やスミ入れの溶剤が付着すると内部まで浸透してパーツが割れる原因になってしまいます(これをケミカルクラックといいます)。

特にABS樹脂は溶剤が浸透しやすく、樹脂自体も有機溶剤に弱い特性を持つので、スチロール樹脂に比べてケミカルクラックがパーツ割れの原因となってしまいがちです。

ABS関節を組み立ててからスミ入れしたらパーツが割れてしまった…という経験をした方は結構多いと思いますが、これはABSの特性、パーツにかかる負荷、ケミカルクラックの3要素がてきめんに作用しているからなんですね。

割れ対策として最も効果的なのは仮組の段階でダボをピンバイスなどで少し大きめにしてあげること。

初めからパーツに負荷がかからないようにしてあげれば割れにくくなります。

この割れ対策はスチロール樹脂でもABSでも効果的です。(スチロール樹脂が割れにくいだけで、条件が悪いとABSと同じように塗装やスミ入れで割れまくります)

ダボをドリルで広げる方法は仮組の段階で実施できるので一石二鳥かと思います。下記の記事に仮組のコツをまとめているので読んでみてくださいね。

ABS関節がそもそもキツすぎて負担になっている(特にコトブキヤキット)

最近のガンプラはKPS(柔らかいスチロール樹脂)を採用することでABSから脱却しましたのでパーツが割れるというトラブルをあまり聞かなくなりましたが、コトブキヤなどの模型メーカーでは今でもABSが現役です。

特にFAガール、メガミデバイスといった美少女プラモは関節をコンパクトに作るためにもABSが必須。

SNSを見ていてもガールのABS関節が折れたというトラブルを良く耳にしますね。

これは主に模型メーカーの都合なのですが、ABSの軸関節はプラどうしの摩擦による保持がメインなので元々はめ込みがキツめにしてあるからなんですね。

特にコトブキヤのABS関節軸のはめ込みは本当に硬い!

割れる予感しかしない…

硬いということははめ込むだけでパーツに多大な負荷がかかっているということ。

その状態で塗装しようものならそれは簡単に割れてしまうはずです。

ガールプラモを塗装した後、関節を動かすときに「パキっ」と音が鳴る方は関節が特に割れやすい状態なので気を付けてください。

これは後述する対策で回避可能です。

ABSは塗装するとスチロール樹脂より膨らむ気がする

実際に測ることができないので体感なのですが、ABSパーツは塗装するとパーツが膨らむ気がします。

先述の通りABSは吸湿性があり溶剤分を吸いやすいため塗装したパーツが少し膨らみやすいのかもしれません。

塗装に失敗したパーツを剥離する際に溶剤をかけても、ABSパーツの方が塗膜が厚いような感じがしますし、関節軸に塗料がかかろうものならはめ込めないくらいにキツくなる傾向があります。

小話

自分は本職で機械設計をやっていますが、ABSは吸湿性があり膨張しやすく、有機溶剤に弱いという特性は結構知られた事実ですので、この感覚はそんなに間違っていないと思います。

なので塗装したパーツを組み立てるときは関節軸部などの塗装は剥がすか、あらかじめゆるめに調整しておかなければなりません。

以上の点からABSはスチロール樹脂にくらべて割れやすく破損しやすいということがお分かり頂けたと思うので、次の項目でそれらの対処方法を解説していきましょう。

ABSを割らない対策その1:パーツに負担をかけない

先ほど割れる原因がパーツのストレスと書きました。

ということは割れないようにするためにはパーツに負担がかからないように組んであげればいいですよね。

これが一つ目の対策です。

作業に使うのは各種ドリルと紙ヤスリくらいです。

それではその対策を紹介していきますよ!

まず割れそうな箇所をチェックしてみましょう

最初にコトブキヤの美少女プラモの腕を使ってABSパーツの割れそうな箇所をチェックしてみましょう。

ここに注意
  • スナップフィット:きついまま組むと塗装時に溶剤が浸透して割れる
  • 関節軸:きついまま塗装したパーツを組むと、組み立てた時や完成後に動かしたりしたときに割れる
  • ボールジョイント:塗装がのったままはめ込むと相手のダボ側が粉砕する
  • 取付穴:塗装がのったままはめ込むときつくて可動できない、美少女プラモの場合手首の軸が簡単に折れる
  • 取付軸:塗装がのったままはめ込むと相手のダボ側が割れる。そもそも入らない時もある

などと、腕1本でこんなにもパーツ割れの原因が潜んでいます

ちょっと宣伝

ちなみに解説しているキットはコトブキヤから新発売された「創彩少女庭園シリーズの結城まどか」です。

キットの中身を解説してますので、興味のある方は記事を読んでやってください。

今回はちょうどいいタイミングでABSキットを作ったので美少女プラモ目線で解説していますが、2000代初期のABS関節を多用したガンプラや、アーマードコアやフレームアームズといったコトブキヤキット、ボークスのブロッカーズなどにも本対策は有効ですので、参考になる工作は取り入れてみてください。

それでは一つづつ割れないように回避する方法を紹介していきましょう。

スナップフィットの割れ対策

さきほどの割れる原因の説明でも書いたとおり、スナップフィットは事前にダボを広げて、パーツをはめ込む際にストレスがかからないようにしてあげるのがポイント。

最近のバンダイやコトブキヤのプラモデルなら、大体ダボ径がピンバイスのドリルの何かしらと一致するので、ダボ穴ピッタリのサイズのドリルで穴をひとさらいして広げてあげます。

ワンポイントアドバイス

はめ込みがゆるく手で分解できるくらいに調整するのがベストです。

ゆるゆるすぎるても最後に接着すればOKですが、仮組中にバラバラになりやすいので軽くはめ込めるくらいを目指して調整しましょう。

スナップフィットをゆるくしておくと、力を使わずパーツが組めるので接着作業時のパーツの貼り合わせも楽になりますよ。

関節軸の割れ対策

コトブキヤのABS採用キットを組む場合、関節軸の割れ対策は絶対に押さえておいて欲しいポイントです。

関節を組み立てる際に関節ダボを軸に軽くハメ込んでみて、少しでも硬いなと思ったら無理してはめ込まずに、下記の写真のように関節のダボ穴をピンバイスで広げてあげましょう。

先ほどのスナップフィットと同じくバンダイやコトブキヤのキットであれば、だいたい何かしらのドリルがダボ穴にピッタリ入りますので、適切なドリルを使って穴を少しだけ広げます。

ワンポイントアドバイス

ドリルはなるべく穴に対してまっすぐ入れましょう。

斜めに入れると穴の形がいびつになり、保持力が低下してしまいます。

保持力が想定より落ちてしまった場合、軸に瞬間接着剤を塗るなどして軸側を太くして調整します

ABSの軸に対してABSのダボを組み込む関節の場合、塗装するとABSパーツが太ってかなりはめ込みがきつくなるので、この段階では少しゆるすぎるくらいに調整しておくほうが丁度いい感じになりやすいです。

この取付穴を広げる工作はパーツへの負担が大きいので塗装後に行うのは推奨しません。
塗装後に調整する場合は最後に紹介する取付軸側の調整で対応しましょう。

ボールジョイントの破損対策

ケミカルクラックでABS製ボールジョイントのボール側が割れることはほとんどありませんが、はめ込む側のジョイント(穴)が負担に耐えらえず割れてしまうことがあります。

ここは紙やすりや写真のようなスポンジヤスリを使ってボールの径を少し小さくします。

ワンポイントアドバイス

小さくしすぎると関節がはまらなくなるので、はめ込みを確認しながら少しずつ削りましょう。

もし緩くなりすぎたら、ボールに瞬間接着剤を塗るなどして太くしてあげれば保持力が復活できます。

コトブキヤのボールジョイントは基本的にキツめなのでこの工作は必須です。

この工作を行っておけば、腰や首が折れるという致命的な破損を防ぐことができますよ。

ボールジョイント部に付着した塗料は組立前に剥がそう

塗装すると塗膜の厚みではめ込みがキツくなるほか、塗装面どうしの接触は摩擦が大きくパーツに負担をかけるので、組立前にボール部に付着した塗料はヤスリで剥がしてから組み立てましょう。

これをやるだけでボール部の破損は劇的に軽減できます。

上の写真にも書いてある通り、ボール部分の塗料を全部剥がしてしまうと完成後に削った部分が見えてしまうことがあるので、ボールの直径が一番大きい部分+αくらいの範囲で削るようにしましょう。

取付穴の破損対策

関節や武装、ディスプレイスタンドを差し込める取付穴も塗装前にドリルで軽く広げておけば破損対策ができます。

取付穴を広げる時もドリルを真っすぐ入れるのがコツです。斜めにドリルを入れて広げてしまうとすっぽ抜けやすくなるので要注意。

この取付穴を広げる工作はパーツへの負担が大きいので塗装後に行うのは推奨しません。
塗装後に調整する場合は次項で説明する取付軸側の調整で対応しましょう。

取付軸の割れ対策

仮組の時は取付穴側をドリルでゆるくしているため取付軸を削ることはほとんどありませんが、先述の通り塗装後はABSが割れやすくなっているので、パーツのはめあいがきつい場合は軸側を削ります。

ボールジョイントの時と同じように塗装が乗るとはめ合わせ硬くなるので、取付軸に付着した塗料は組立前に削っておきましょう。

仮組の段階で取付穴側の調整が上手くできていれば、軸の塗料を剥がしてあげると丁度よい硬さではめ込めるようになるはずです。

ワンポイントアドバイス

塗装後に取付穴側をドリルで広げると、その負担でパーツが割れる可能性があるのでおすすめしません。

塗装後にはめあいを調整する場合は基本的に軸もしくはボール側を削って調整しましょう。

おまけ:塗装ハゲ対策

ABSパーツはプラ製パーツより塗装後のパーツが膨らみやすい傾向があると書きました。

そのため仮組段階でクリアランスが狭い部分に塗装が乗ると、完成後の組み立てですれて塗装が欠けることがあります。

そういう場合は仮組の段階で、組み込む関節の側面を削って薄くしてクリアランスを確保しておきましょう。

上の写真がクリアランスを確保した状態。

少し取りすぎのようにも思われるかもしれませんが、サフや塗装を重ねるとちょうどいい感じになります。

むしろしっかりクリアランスを確保しておかないと塗装に成功しても可動で塗装がハゲますので要注意(笑)

僕はコトブキヤの美少女プラモのような挟み込み構造を多用する関節は(ひじやひざなど)はすべて上の写真くらいのクリアランスを仮組段階で確保しています。

ABS割れ、破損対策は仮組の段階で8割回避できます

ということでいろいろと破損対策を紹介しました。

破損回避の一番の方法は何度も書いているようにパーツにストレスを与えないことです。

破損対策はバッチリですかな?

この破損対策は元々渋め、硬めのコトブキヤキットには非常に有効で、無塗装素組み派の方の破損対策にもなりますのでぜひ挑戦してみてください。

作業のほとんどがヤスリとピンバイスでこなせるのも簡単ですね。

ドリルは下記のタミヤ製など良いものを買っておきましょう。

よくABSの破損対策で聞く「関節軸にグリスを塗布する」なんてテクニックは、クリアランス調整とストレス軽減工作、軸の塗装剥がしを行っておけば一切不要です。

最近僕はどんなプラモでも関節の調整は仮組段階で完璧に行っているので、キットの組み立てにグリスは一切使っていません。

小話

ちなみに僕は塗装が乗ることにより関節の可動が渋くなることを想定して、仮組の段階ではプラモデルがギリギリポージングできるくらい緩めに関節を調整してあります。

美少女プラモのように合わせ目を消すと関節の硬さを調整できなくなるキットの場合、ゆるい関節を渋くすることはできますが、その逆(よりゆるくする)はかなり難しいためです。

ABSを割らない対策その2:塗装は薄く、乾燥は速く

割らないようにする対策その1が随分長くなってしまいましたが(笑)、その2は塗装時に気を付けることです。

ABSに負担をかけないように塗装するには溶剤分を浸透させないことが大事

ABSは有機溶剤に大変弱い(溶ける)ので、「クレオスのMr.カラーうすめ液」や「ガイアカラーうすめ液」といった標準的な薄め液はあまり適していません。

なぜかというと上記シンナーは乾燥時間が比較的遅めだからです。

シンナーの乾燥時間が長いと、その間にシンナー成分がパーツに染み込んでしまうので、ABSのように溶剤に弱い樹脂は劣化してしまいます。

ABSの塗装には速乾性のシンナーを使おう

ABSの塗装に普通のシンナーを使うか、速乾性のシンナーを使うかは意見が分かれますが、僕のおすすめは速乾性です。

とくにおすすめなのはガイアノーツのプロユースシンナー。

乾燥が大変早いのと、普通のシンナーよりキツめの成分により食いつきが抜群なのがポイント。

当ブログはスケモからキャラモデまでなんでも作っていますが、ソリッド、メタリック、グラデーション問わずすべての塗装はこのプロユースシンナーでおこなっています。

先ほど紹介したABSの割れ対策に加えて、速乾性シンナーを使っていただければまず割れない模型作りが可能ですよ。

塗料は希釈しすぎず、塗膜は薄く塗る

ケミカルクラックの原因はシンナーの含侵によるもので、塗料の顔料そのものはABSに大きなダメージを与えません。

なので塗装する際は塗料を希釈しすぎず、塗膜は薄めに(厚塗りすると乾燥時間が延びる=シンナーがパーツに浸透してしまう)仕上げるようにしましょう。

ちなみに僕は美少女プラモの肌は毎回グラデーションをしています。

グラデの場合塗料をかなり希釈する必要がありますが、グラデの塗装は塗膜が非常に薄いため乾燥も早く割れるようなストレスになることはまずありませんのでご安心ください。

ドライブースを使ってさらに乾燥時間を短縮する

速乾性シンナーといえども塗料が完全乾燥するには10分程度かかります。

そういう時はパーツをドライブース(乾燥機)に入れてさらに乾燥時間を短縮させてABSパーツを保護しましょう。

世の中には模型用ドライブースといった専用品も存在しますが、上記のような食器乾燥機のほうが安くて使いやすいです。

かず

現在僕も愛用中。

この辺の道具は下記の記事にまとめていますので読んでみてくださいね。

対策しておけばABS割れなんて怖くない!

ということで色々とご紹介しましたABS割れ対策はいかがでしたか?

全塗装しても動かし放題

うまく関節調整ができれば、ABSパーツを多用しているプラモデルでもゴリゴリに動かして遊べるように作れます。

このテクニックを身に着けて、ABSキットの関節をパキッっと怪しい音を立てて動かしてしまう自分から卒業しましょう~(笑)

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